メタボが中年男の勃起力・維持力を奪う3つのカラクリ
「メタボ」は30代を過ぎた男ら少しは意識をしたことのある言葉だと思います。もうはや中年男性だと誰もが知っている言葉ですが、結論から言うと、このメタボは勃起に対して悪影響を及ぼします。
勃起力低下への悪影響だけでは留まらず、メタボが原因でED(勃起不全)まで発展する恐れだってあるんです。
と言っても、メタボが直接的に勃起力を奪っているわけではなく、メタボを土台として様々な体へのダメージが勃起力低下に影響しているということです。
特に勃起に関しての悩みはメタボになりやすい年齢(40~60歳)と重なっているので、このことを頭に入れておきましょう。
それでは、メタボと勃起力・維持力の関係について詳しく紹介しましょう。
メタボについて
メタボとは別名で「内臓脂肪症候群」と呼ばれていて、色々な内臓に脂肪が蓄積されている状態。その結果、生活習慣病が引き起こされたり、病気にかかるリスクが高いになります。
ニュアンスとしては、メタボそのものが悪いというわけではなく、「メタボの状態だと色々な問題が起こる可能性が高いんですよ~」ということになります。
肥満とよく同一として扱われているメタボですが、厳密には違います。その違いについては「メタボ・肥満が精力を低下させている」のページで詳しく紹介しているので、参考までに読んでみてください。
メタボの基準
メタボ診断の基本ベースはウエストサイズです。
お腹を測ることで、お腹周辺の内臓についてる脂肪を計測できる簡単なものなので、これが1つめの目安になります。続いて、血圧、コレステロール(中性脂肪)、血圧の3つを計測します。
つまり、メタボの基準となるのは4つ。
- ウエストサイズ
- 血圧(上下)
- 血中のコレステロール値(中性脂肪値)
- 血糖値
この4つの項目の数値によってメタボが診断されるわけですが、1時試験・2次試験といったように診断が別れているんです。
内臓脂肪の測定(1時試験) | ||
1.ウエスト※ | ウエスト周囲径 | 85cm以上 |
内臓脂肪面積 | 100平方cm以上 | |
以下の3項目(2時試験) | ||
2.血中の中性脂肪・コレステロール値※ | トリグリセライド(TG:中性脂肪) | 150mg/dl以上 |
HDLコレステロール(善玉コレステロール) | 40mg/dl以下 | |
3.血圧※ | 収縮期血圧(上) | 130mmHg以上 |
拡張期血圧(下) | 85mmHg以上 | |
4.血糖値 | 空腹時血糖 | 110mg/dl以上 |
※はどちらか片方でも該当扱いになります。
参考:厚生労働省:生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会 第3回資料
1次試験のウエスト(周囲)が基準値よりオーバーすれば、2次試験に進めます。(この場合、2次試験に進むほうが悪い。)
2次試験では血圧、コレステロール値(中性脂肪値)、血糖値の3項目の内、2つ以上が基準値をオーバー(またはアンダー)すれば見事!メタボ試験合格となります。
こうしてメタボの一員になれるんです。
メタボが勃起力を低下させる理由
ここからが本題のメタボと勃起の関係についてです。簡単に言うと、メタボだとある生活習慣病を引き起こすリスクが高いから、それが勃起にとってマイナスに働くからです。
その生活習慣病というのが3つ。
- 糖尿病
- 高血圧症
- 高脂血症
中年の男なら誰もが聞いたことがある、生活習慣病の中でも代表的な病気です。感の良い人はお気づきだったでしょうが、そもそも、メタボの2次試験のところでファクターとして用いられて血糖値・血圧・血中コレステロール値(中性脂肪値)はこの3つの病を見定めるためのものなんです。
つまり、メタボというだけでこれら生活習慣病の予備軍的なんです。
そして、なんとこの3つの生活習慣病はEDの合併症リスクが高いんです。
画像引用:器質性ED|EDの原因とタイプ|ED(勃起不全)とは|EDネットクリニック|バイエル薬品
上記の3つの生活習慣病と診断された人のED併発率ですが、その予備軍でも勃起低下に影響すると言われているほど、相性最悪の病気なんです。
それではこの3つの病がどのように勃起力低下に関わっているのか詳しく紹介していきましょう。
1.糖尿病は勃起の天敵
糖尿病患者の80%以上がEDを合併していると報告されるほど、糖尿病と勃起力には深い関係にあります。
その大きな理由が糖尿病による神経障害にあります。
「糖尿病」つまり、血糖値が高い状態の人なんですが、血糖値が高いと神経細胞の中にソルビトールという物質が蓄積されてしまいます。
この物質が増えることで、神経細胞が傷ついてしまい、どんどん正常な機能を失ってしまうんです。
神経細胞の中には勃起神経(勃起中枢)と呼ばれる神経もあります。その名の通り、脳が覚えた性的興奮を男性器まで伝える役割をしている男性器行きの高速道路のようなものです。勃起には必要不可欠な神経と言ってもいいでしょう。
当然、高血糖の神経障害は勃起神経も含まれます。コレは、言わば高速道路が崩壊している状態です。そんな状態では男性器まで脳が送った伝令を送り届けることができないので勃起力低下を招いてしまうんです。
また、糖尿病は動脈硬化を進行させることがわかっているので、神経・血流の2つの面で勃起に対して大きなマイナスを与えてしまうんです。だからこそ、ED併発率80%という恐ろしいデータがあるわけです。
勘違いしてはいけないのが、これは糖尿病だけではありません。糖尿病予備群(血糖値が高い人)でも当てはまることです。健康診断で血糖値を指摘された人でも十分勃起にマイナスを与えていると思ってください。
2.高血圧も勃起とのは相性最悪!
高血圧もEDの併発率が高い生活習慣病です。「高血圧者の25%がEDを併発している」「ED患者の40%が高血圧症にかかっている」といったデータが報告されており、その因果関係は間違いなく、合併する確率も高いんです。
高血圧による勃起力への影響はずばり「動脈硬化」です。
慢性的に血圧が高いことにより血管の内側に障害を与え、どんどん血液が通る道(血管の中)を狭めていきます。これにより、血流が悪くなり男性器へ正常に血液を送ることが難しくなります。
勃起は血液が海綿体に流れ込まなければ成り立ちません。
その重要な血液が動脈硬化によって流れ込みにくくなっているわけですから、勃起に不具合が生じても何ら不思議ではありませんんよね。
1.高血圧→2.動脈硬化→3.血流が悪くなる→4.勃起へマイナス
この方程式こそが高血圧を含む生活習慣病による勃起力低下のオーソドックスな形なんです。主犯格は動脈硬化と言っていいでしょう。
3.高脂血も勃起に悪い!
高脂血というのは脂質異常症の別名です。簡単に言えば、血液に脂分が多い状態の人です。そのため血中のコレステロールが深く関係しているわけですが、血液中の脂質が動脈硬化の進行を進めてしまいます。
海外では脂質異常者によるED調査結果もあります。
質異常症の患者3250人をフォローした調査では、総コレステロール値>240(㎎/dl)のグループは<180のグループに比べ、EDに1.8倍なりやすく、HDLコレステロール(善玉コレステロール)値>60のグループは<30に比べ、EDのリスクは0.3倍であったとのことです。
血液中のコレステロールが多いと、その余分なコレステロールが血管の内側の壁に蓄積されてしまいます。これが動脈硬化のもととなるわけですが、それ以前にコレステロールの蓄積により、血液が通る道が狭くなるわけですから血流は悪くなります。
心臓付近などの太い血管なら、少々狭くなっても血液が通る道はありますが、男性器付近の毛細血管のように細い血管はこれが致命的になります。
血流の問題は全身症状が出るより先に勃起の方に早く影響を与えます。そのため、中高年の勃起低下は生活習慣病を見極める1つのファクターとしても用いられているんです。
血流の悪化による症状は最もデリケートな勃起に現れるということです。